四代目「鬼師」美濃邉哲郎、鬼瓦職人をめざして

MOH通信編集部

2009年07月28日 17:49

【「鬼瓦ギャラリー」好評】

6月21日大津市菱屋町商店街の一角に鬼瓦ギャラリーが出現した。
ギャラリーの主宰者は、美濃邉鬼瓦工房。
文化財・社寺・一般在家の鬼瓦製造窯元で大津市比叡辻に窯を持つ。
三代目の恵一さん(58才)は西本願寺や三井寺、清水寺など文化財指定を受ける建築物や社寺の鬼瓦製作・修復を手がける「鬼師」。「鬼師」とは鬼瓦を手がける職人の呼び名だ。
整然と並んだ鬼瓦はカッコイイ。
滑らかな銀色の光沢を持つ形相は、曲線と球体の組み合わせが猛々しくも艶かしい。
鬼瓦は屋根の大棟や降棟の端を飾る瓦。かつては鬼面を用いて安穏を願った。
鬼は私たちを厄災から守り、やさしく包み込んでくれる。
(昔、ある大名が都の鬼瓦を見てふるさとに残した妻を思い出し涙した・・・とか)

若き四代目鬼師の哲郎さんを訪ねた。
「おやじには口を動かすより手を動かせって言われます」。
なぜ怒られているのか、わからないこともしばしばあるとか。
職人の道は険しいようだ。
「腕を上げたい。そして、鬼瓦の魅力を皆さんに伝えたい」。
哲郎さんの初仕事は、しゃちほこ(鯱)。
緩やかなカーブの背びれにどっしりとした獅子頭。体長1m強。
「これだけ大きいと、乾燥が難しいです。焼成時の反りを見越した型つくりも経験が必要です。
傷もなく、安定して仕上げるのが、職人の技です。文化財の修復をするとき、古の職人技に学びます。
土の質、焼成、焼き上がりの状態いずれも100年~200年耐えるほどの出来です。
ジーっと見つめているとちょんまげを結っていた当時の職人の姿が浮かびます」。
鬼瓦にも地域の特徴があるそうで
「京都はシュッ、奈良はガッチリ、大阪は眉間がフトク、滋賀はカワイイ」。
見上げてごらん屋根の上を、鬼瓦があなたを見守っている。






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