世界を、こんなふうに見てごらん。
【日高敏隆先生のあしあとをたどる展にて】
いきものとおしゃべりするには、観察するのがいちばんだ。
子どものころ、ぼくは、虫と話がしたかった。
おまえどこに行くの。何を探しているの。
虫は答えないけれど、いっしょうけんめい歩いていって、
その先の葉っぱを食べはじめた。
そう、おまえ、これが食べたかったの。
言葉の代わりに、見て気がついていくことで、
その虫の気持ちがわかる気がした。
するとかわいくなる。うれしくなる。
それが、ぼくの、いきものを見つめる原点だ。
どうやって生きているのかを知りたいのだ。
おまえ、こんなことしているの。
そうなの、こういうふうに生きているの。
その物語がわかれば、すごく親しくなれる。
みな、ようよう今の環境に適応して生きている。
生きることへの深い共感は、そうやって生まれてくる。
世界をこんなふうに見てごらん。
この本を、これからの少年少女と大人に贈る。
人間や動物を見るときのぼくなりのヒントをまとめたものだ。
生きているとはどういうことか、
豊かな見方をするといいと思う
『世界を、こんなふうにみてごらん』
2010年、集英社 まえがきより
2010年6月17日 主催:日高敏隆先生に花火を贈る有志の会
後援:公立大学法人滋賀県立大学
※当日のパンフレットは、M・O・H通信に登場していただいたときの、笑顔の日高先生です。
(photo by kouji tsujimura)
●いいなあ、しぜんで・・・
(by kotomi)
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