“田”つくりと“人”つくり

MOH通信編集部

2009年05月20日 12:24

<田に学ぶ>

私たちの先祖は未開の地を切り開き、田をつくり、子孫を育てました
木を切り、根を起し、草を刈り、石を拾い、窪地を埋め、高台を削り平地にしました
そして、周囲の木を間引きし、太陽の光をいれ
灌漑(水を引き、排水する)を施したのです
それは血のにじむような“労力”と途切れることのない“精神力”の賜物でした

時には、大きな磐が作業を阻みます
この磐は“要石(かなめいし)”といわれます
土砂崩れがあっても、風雨が降り注いでも、地震がきても田はびくともしません
それは、要石が土地を守っているからです
人は「山の神様の依代かもしれない」と、
しめ縄をはり、御幣で清め、敬いました

作物を育てるには、土を肥やさねばなりません
人は“牛”の力を借りました
牛は力持ちです
水を引いた泥田に入り、鋤きを引きます
土は鋤きで撹拌され空気が入り、柔らかくなります
牛は草を食みながら、ゆっくりと緩やかに、時には脱糞しながら歩を進めます
それは、土の栄養となり、土を肥やします

子どもの仕事は牛飼いです
疲れた牛をいたわり、体を洗い、わらを与え、水を与え、寝かしつけます
時には出産に立ち会います
牛は家族でした
母屋の隣に牛舎があり寝起きを共にしていたのです
人は自然を師とし、学習し、恵みを享受し、感謝しました

人づくりは田作りに似ています
自由奔放な“個人”から、自覚を促し、自制を身につけ社会性を養います
“牛”は教育でしょうか
他者の手を借り、知識、教養、創造性、知恵という肥やしを与えます
“要石”は人間性、個性、独創性・・・
栄養を与え、どっしりとゆるぎない要石を育めば、健やかに育ちます

豊潤な土は、たくさんの実りを与えてくれます
『実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな』
感謝し、収穫を分かち合い、謙虚に生きる
人の生き方は、いにしえを学ぶこと
「温故知新」
祖先に脱帽!




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